竹本ゆき子展 ー その2 ー
「使いやすい器」というのは、一つの褒め言葉でしょうか。
ただ105円でも器を買える時代、
作家ものの器はそれ以上に私達を惹き付けるエッセンスがあると思うのです。
竹本さんの器の魅力はどこにあるのでしょう。
普段使われている皆さまがそれぞれ感じてくださっていたら、一番すてきです。
でも、僭越ながら私から一言添えさせてもらうなら、
「器への愛おしさが自然と育まれるもの」ー 竹本さんの器はそんな存在です。
作り手の姿が力強く映る器ではなく、
使う人の心に静かに根付いてゆくような誠実な器。
作品を通して、作り手と出会うような体験が生まれ、
器を使う時間まで慈しみたくなる思いが使う人に芽生えてきます。
毎日何かを頑張って過ごしていらっしゃる方をほんのひと時立ち止まらせてくれ、
支えてくれるように感じています。
今回の個展は、粉引を中心に構成されています。
白の世界ですが、単調ではありません。
奥行きがあります。
少し青みのある粉引。
ひび割れの表情が豊かな粉引。
長く使い込んでみたいです。
やわらかな釉の流れがゆったりとした、大皿も並びます。
灰釉の器も出品されています。
粗い土を使った粉引は、またいつもと違った表情。
こちらの茶碗は、粗い土を使い薪窯で焼かれました。
噛みしめても噛みしめても、まだまだずっと愉しめることでしょう。
寒くなってきたので、今日は竹本さんの白い6寸皿で水餃子を頂きました。
毎回展示を重ねるごとに、一層よい作品を私たちに見せてくれます。
竹本さんの器は久しぶり、初めてという方にも、
充実した展示をたのしんで頂けましたら嬉しいです。