小さき壺 vol.2

風の強い日が多かったり、
昼間は暖かいのに朝晩は冷え込んだり、
春のような、春が遠いようなふわふわ感にまとわれています。
だんだんに陽がのびてきているのは嬉しいですね。




今日は、先週末からの「小さき壺」に一言ずつ添えてお届けしたいと思います。
まずは田谷直子さんの壺から。

田谷さんらしさの詰まった作品ばかりが届いています。
たおやかさと、どんと構えるような芯の強さ。
届いた壺たちには、その両方がしっかり宿り、手にする度に気持ちよく感じられます。

面取り、丸。ルリ釉、灰釉。いろんな形を揃えたくなりますね。



私も家の棚の上には、田谷さんのルリの小壷を置いています。
あめちゃんやチョコレットを入れたり、
時々薬を隠しておいたり(蓋をしめたら、中に何をいれても雰囲気がでるんです)。
塩など入れてもいいですね。



花器も、見逃せません。

あら。素敵です。
これは同じものはもう見られないのだろうなと思います。




ここからは、岡田直人さんの器です。
白い壺しかありませんが、今回すべてが1点ものです。
空音にふさわしいセレクトで出品くださいました。
愛らしい蓋物もいろいろな素材で作られています。
いつもの白い釉薬。マットな釉薬

わら灰釉。定番の白い釉薬
それぞれの釉薬の質感に調和した形がうまれました。

とても岡田さんらしい、非日常へと誘う花器。
マットな質感と完璧とも言えるかたち。
お花を生けてももちろん素敵ですが、そのままでも際立つ存在感です。
こんなよい緊張感のある器にはなかなか出会えません。

こちらはわら灰釉の花器。
ぽつぽつとした抑えた表情が、
お花をやわらかさを引き立ててくれると思います。




石田誠さんの壺は、紅毛手(白い陶器)と南蛮焼き締めが届いています。
おかえりなさいと思わず言いたくなってしまうような、
少しいびつな石田さんの焼き締め。
写真で見るとわかりにくいですが、実際に見ると驚くサイズかもしれません。
でも、二人前ぐらいの立派な焼き上がりです。


紅毛手は、ねじりの把手がついた蓋物。
少しお茶目な姿で、お茶の時間などをたのしませてくれます。
テーブルにずっと置いておくのにも重宝するでしょう。
背が低いものと高いもの、いれるものによってお好きな形を選んでください。




小谷田潤さんの壺は、見るのも選ぶのも楽しいシリーズです。

いつもの涙壺より、ほんの少し大きめサイズもあります。
手触り感のある白いものばかりですが、
思うままに形も削られた模様はただ一つだけ。
こんなに小さい壺が作り出されている現場を思うと、
この壺の存在が愛おしく感じられます。

お気に入りをちょこんと、洗面台や窓辺などに置いておくのも素敵です。




今回の企画展も、あと2日間の開催となりました。
今週末も皆さまにご覧頂ける事をたのしみに、壺の中でお待ちしております。

(田谷直子さんの白泥粧の器。
 思いがけないグラデーションの素晴らしい焼き上がりに、ため息が出てしまいます。)