週2日の意味


頂いたお花を田谷直子さんの花器に生けて。



秋らしい空気に変わりつつあります。
まだまだ駅から歩くには暑すぎる日ばかりですが、
東中野の時からのお客様に足を運んで頂き、久しぶりのお話をできたり、
初めて来てくださった皆さまに器を見て頂いたり、とてもありがたく思っています。




初めてお会いする方には、週末だけしかやっていないんですか?とよくお尋ね頂きます。
空音は、ほんとうに週末しか開いていません。
週末でも店内が混雑する事はありませんが、毎週2日間は特別な濃密さを感じています。
今のところ別に収入があり、お店の目標=毎月器をいくら売る、
という決まった枠にはめて活動する必要はありません。



たくさんの方に器を買って頂けたら、
作り手の方にお金を還元でき暮らしや制作を直に支えられるので、
その大切さも身に染みて感じています。
もちろん良さを伝えていく努力も続けるつもりです。
でもお金だけでは測れない価値、
器を通して厚みや深みのある関わりを届けたりもらったりするために、
積極的に立ち止まりたいと思います。
私自身、小さな器1つ1つに新しい発見ができる面白さに魅了され続けてきたからです。



例えば、白い器しか使わないと決めていた方が、ある日ある作家の灰釉の器を手にした。
その器を買わなかったけれど、度々その器の存在を思い出していた。
そうして1年後5年後、もしかしたら10年後に、
ふと思い出したように、器の残像を抱えながら空音へ器を見に来てくださる。
もちろん、もう同じ器はないでしょうけ。
器を買って使って頂けることは、作り手にとっても幸せですが、
器を買わなくても一人の方の心に刻まれる器があったとしたら、とても嬉しいです。
1つの器から新しい価値観が開かれるような出来事が、
あちこちで起きてくれたらよいなと想像しています。



そんなわけですので、
器など要らないのだ、焼き物にとくに興味はない、という皆さまにも、
ぜひ足を運んで頂けたよいなといつも思っています。



このメッセージは、
いつもブログを読んでくださる器好きな皆さま以外に届くことは、
奇跡的かもしれません。
でもうっかり届いてしまったら、なんと素敵な間違いでしょう。



今日はこの辺で失礼いたします。




可憐な白い花と、田谷さん作の花器。
息がぴったりで惚れ惚れして眺めておりました。