今野安健さんの工房へ

山形県あつみ温泉」駅前から海をのぞむ)














先週末はお休みをいただき、
器作りをされている今野安健さんのもとへ伺いました。



この日本海に面した海岸から、車で走ること30分ほど、
山合に今野さんの住まい、兼工房があります。


器を作る仕事というのは、一般的にはどんなイメージでしょうか。
素敵なものというイメージが強くて、
陶芸家という職業についても、
悠々自適な田舎暮らし、
のんびりしたお仕事のように捉えられている事が多いのかもしれませんね。


一般にものを作る仕事は驚く程地味なものですが、
器作りもその例に違わず、孤独で地味な仕事だと思います。
1人で一連の行程をこなす陶芸家ならば、
せっせこせっせこ土をこね、
くる日もくる日も、
ろくろを回し続けなければ、生きてはいけません。


気が遠くなるような1人きりの空間で、
ろくろを回したり、窯で器を焼きあげたりと、
同じことを繰り返す中で、
いい器ができたり、思うような器ができなかったりする日々に
自分自身がたのしさを見出していく。
時に迷いながら、時にまっすぐに。
「私だったら投げ出す」と思ってしまうような孤独で地道な仕事を
強さでやってのけているように見えるのです。
そんな風に試行錯誤しながら生まれる器の存在に、
勇気づけられるところがあります。



今年12月に予定している今野安健さんの個展では、
そんな毎日たくさんの器が生まれる現場を、
皆さまにもご覧いただけるような企画を実現できることとなりました。


”器は僕の言葉の一部で、器についても自分で説明できなければならない”ー
そう語られる今野さんの器の魅力を
1人でも多くの皆さまに感じて頂けたらいいなと思っています。
12月をたのしみにお待ちください。



最後になりましたが、
この8月、お陰さまで4周年を迎えることができました。
いつも支えてくださる器の使い手の皆さま、作り手の皆さまに、心よりお礼申し上げます。


わかりにくい曇り空の時代に、
手触りという確かな感覚を通し、
自分、そして他者の存在を確かめることができるリアリティーのある道具として、
作家ものの器をお伝えできることを嬉しく思います。


5年目もどうぞよろしくお願いいたします。


(帰り際、今野さんの工房から見た遠くの夕焼け。)