今野安健 展後

久しぶりの更新で突然私事で恐縮ですが、
今野安健さんの個展後、腸炎を患ってしまいました。
腸炎といっても風邪の仲間みたいなものだと思いますが、
菌にお腹を直撃されるせいか威力が強く、
いつも健康だけが取り柄だったのに、一時はダウンしてしまっていました。


そんなわけでブログの更新が(おまけにサイトの更新も)すっかり遅くなってしまいましたが、
今野安健展へお出かけくださった皆さま、本当にありがとうございました。
1点1点ゆっくりとご覧くださり、今野さんともども大変嬉しく思っております。
今野さんの器については、前回・前々回のブログでも長々と(いつもすみません)ご紹介おります。
お時間がありましたら、ぜひさかのぼってご覧頂けたらと思います。
今野さんの個展イメージムービーも、ずっとこちらのページでご覧頂けますので、
いつでもどうぞ。
http://www.ku-ne.com/page/main/exhibition/1012/exeventhome.html



2010年内の空音の営業日も、早いもので残りあと3日となりました。
本当に早いですね。
年内残り3日間は、この秋冬の展覧会で買い取りをさせて頂いたお品を中心に、
冬らしいこっくりとした色合いの展示にする予定です。
サイトに掲載中のお品で店頭に出ていないものもすぐお出ししますので、
お気になるものがございましたら、お気軽にお声がけください。



展覧会が終わると、いつも少ない予算の中で、どの器を買い取りさせていただこうかと考えます。
頂くアイテムを選ぶときは、インパクトだけでは決して選ばないようにし、
飽きやすい自分でも長く使っていける良さがあるかどうか、を1つの基準として決めていきます。
あとは1点1点の器を手にして、微妙な感じの差をできるだけ丁寧に見るようにしています。
作家さんが出品くださるものは全部自信作ですが、
小さいお店なのでその中でも「とくにいいもの1割」を買い取れたら、というのが目安です。



ライフスタイルが変わり、洋服も何もかも短い消費タームのものばかりになって、
長く付き合うことができるものはもう、流行のない器と質のよい家具ぐらいしかないのではないか、
と常々感じます。
だから、できるだけ長いタームを見据えて付き合える器をお届けできたらと思うのです。
とくに器、(そしてこの説明はまた機を改めてと思いますが)中でも作家ものの器は、
長い時間をかけて使うほどに変化をしていくものでもあります。
時間をかけて気づかされることもあるし、時間が経ってもわからないこともあります。
大昔から私たちは器に魅せられてきましたが、
情報社会の現代では、器の別の側面も際だってきているように見えます。
それは、仮想空間が増える中で手で触れることのリアルっぽさの存在というだけでなくて、
放っておけばどんどん情報に浸食されていく感覚のある今の暮らしの中で
情報の浸食から一歩身を引いて、自分を自然と確認できる受け皿としても、
ゆっくりと時間をかけ使う人ご自身で答えを探す場としても、
器は愛すべき存在になってきていると私は思うからです。



それでも器にわざわざお金を払うほどでは、というお声もあると思います。
けれど、特別な器好きでない方にとっても、器はさほど高い買い物ではないと考えています。
たとえば8000円のお皿を買って、週に2日1食ずつのゆっくりペースで使った場合。
・1年使うとー約66円(1日あたり)
・2年使うとー約33円(1日あたり)
・3年使うとーほぼ元がとれます
計算上はこんな感じになります。
器は消耗するものでないため3〜5年という短いタームではなく、
もっともっと長い年月をともにできるものです。
器を使っていく中で、ご飯を頂くささやかなことが楽しくなったり、
見えない作り手との気持ちのやりとりができたり、
お金を払った以上の良さを感じて頂けるはずです。
器なんて何でもよかったのなら、
2000年以上も前から火と向き合い、
これだけ発展し続けることはなかったでしょう。



服のように人目につかない分、
同じ8000円なら器よりシャツ1枚を買った方が合理的だと思われる方もいらっしゃると思います。
器を買う価値がわからずもし不安でしたら、
とりあえず手にとりやすい猪口やカップ、あるいは4寸皿などからお使いになってみてください。
(このあたりは器を使い始めても、出番が多いと思います。)
あとは実際にお使いいただいて、使う方お一人おひとりに目を見開いていただいて、
時間をかけて器を使って何かを感じて頂くしかないと思います。
そして「あそこで買った器がやっぱりよかった」と
数年後にまたお客様に帰って来て頂けるようなお店になれたら、とても幸せです。




新しい年を迎えるにあたり、大切な器をひとつ選んでみませんか?
お茶の時間のためのポットやカップ類、花器、皿までいろいろ揃っています。
器を手にすることを迷われていた方も、器がお好きな方も、
とても寒くなってきましたが、あたたかくなさってどうぞ遊びにいらしてください。
http://www.ku-ne.com/page/main/shop/shophome.html




今野安健さんの個展で自分用に買った飯碗で新米を頂くのがささやかな幸せです